5/5のイベント・レポート!
シモクラチャリティーコンサートも今日(5月5日)が最終日。やや肌寒いくらいの風が吹いていましたが、それでも早くからこの行列…
だってこの日は、人気のクラリネットアンサンブル「シエナ・クラッツ」と「トルヴェール・クヮルテット」が出演するんですから!(写真はアンサンブル市川の皆さん)
そして会場一番乗りは、上野学園大学で彦坂眞一郎氏に師事している、というサックス吹きのおふたり
会場は早くも一階が満席札止め状態。二階にどんどんお客さんが移動中…
1990年に創立されたプロフェッショナル集団
まずはシエナウインドオーケストラ(SWO)http://sienawind.com/concert/のクラリネットセクションで構成されている「シエナ・クラッツ」のステージ。1990年に創立されたプロフェッショナル集団であるSWOは佐渡裕、金聖響という優れた指揮者のもとでめきめきと腕を挙げると同時に、佐渡氏の提案で始めたアンコール企画(楽器持参すればアンコールでシエナと一緒に行進曲《星条旗よ永遠なれ》が吹ける!というもの)も大評判。現在ではチケットをとるのも大変な人気バンドに成長しました。そのSWOには定期的に活動しているグループがふたつあって、ひとつはフルートの「シエナ・フルーツ」、そして2008年にデビューしたのがクラリネットアンサンブルの「シエナ・クラッツ」。どっちも美味しそうな名前なのが素敵ですね!まずはSWOコンサートミストレスの中村めぐみさんを中心にした四重奏(中村、飯島、中村、佐々木、京谷)で《ラプソディ・イン・ブルー》(ガーシュイン)を演奏。コンパクトながら効果的なアレンジ(クラリネット作品で有名なヒケティック氏の編曲)で、たった四人であの名曲の雰囲気を見事に満喫させてくれました。
司会は佐々木理恵さんと黒岩真美さんが交互に。やさしい声が、クラリネットのやさしい音色にぴったり!なごませてくれました。
その黒岩さんがファーストに座った四重奏(黒岩、山手、近藤、原山)で《サウンド・オブ・ミュージック》(ロジャース)《となりのトトロ》(久石譲)を演奏。曲名はそれぞれ一曲だけですが、前者ではミュージカルの有名なナンバーがたくさんもりこまれ、後者でもジブリアニメの名曲としてさまざまなアレンジをされてきたメロディがぎっしり。クラリネットだけのジブリも、いいもんです。
後半は、「クラッツ」全員が勢ぞろい。まずは、ニューサウンズ・イン・ブラスで真島俊夫氏が吹奏楽に編曲したことで一気に人気曲になったTスクェアの《宝島》(和泉宏隆)。途中のソロは中村さん。真島アレンジに特有の全員ユニゾンで鳴りまくるアレンジや、アドリブ(中村さん)もばっちり決める、凄腕クラ集団にクラクラ。
右がコントラバスクラリネット。左のバスクラリネットが小さく見える…
「シエナ」のアンコールは《星条旗…》。SWOは6月12日に、金聖響・宮川彬良両氏を迎え第34回定期演奏会を予定しているとのこと。なつかしの《シンフォニア・ノビリッシマ》や今年の吹奏楽コンクール課題曲など、新旧取り混ぜた選曲もうれしいですが、やはり宮川氏のアレンジでさまざまな名曲が登場するのが楽しみ!
休憩時間。次に控えるトルヴェール・クヮルテットのアルバムにも注目が集まります。
ヤマハではシモクラとタイアップしてこのチャリティコンサートのための特別シールも用意。大人気です。
こちらは野中貿易のブース。やはりセルマー人気は絶大ですね。
ビュッフェ・クランポンのブース。クラリネット吹きなら素通りはできません。
マルカートのファイバー製のケースは大人気。カーボン調のモデルには専門家からも熱い視線が…。
楽器族。ブラストライブ編集長もひとつお買い上げ!中身ももちろんマルカート(ただしちょっとマニアな加工がされている、とのこと…)
演奏曲
《シエナクラッツの、「クラリネット・パーティ」〉 ●ガーシュイン/クラリネット4重奏のための「ラプソディー・インブルー」
●モーツァルト/きらきら星変奏曲 ●チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」より花のワルツ他
プロフィール
中村めぐみ/近藤薫/飯島泉/山手寿子/
黒岩真実/佐々木理恵/原山佐保子/京谷麻里子
佐渡裕、金聖響をはじめとする世界トップレベルの実力派指揮者を迎えて、充実した活動を展開しているプロフエツショナル吹奏楽団「シ工ナ・ウイン
ド・オーケストラ」。その実力派クラリネットセクションのメンバーたちで構成されるアンサンブル。エスクラリネットからコントラバスクラリネットまで音域
によって違う様々な種類のクラリネットを日常的に扱い、常に究極のアンサンブルを追求している。クラシックはもちろん、ジャズ、ポップス等、音楽のジ
ャンルにとらわれない、個性あふれた卓越した技量と絶妙なアンサンブルは、エネルギッシュかつ繊細なステージを繰り広げる。
2008年10月、JTアートホールにてデビューコンサートを満席のお客様の中、クラッツデビューを飾り、2009年10月JTアートホールにて2ndコンサ
ート、2010年10月文京シビック小ホールにて3rdコンサートを開催し、大盛況に終わった。クラリネットという楽器のみに特化されたプロのアンサンブ
ルとしては希少な存存と言え、その誕生と今後の活躍は多方面から、大きな注目を集めている。
演奏曲
さて本日の、そして三日間にわたる「シモクラチャリティーコンサート」のオオトリをつとめるのは、ご存知「トルヴェール・クヮルテット」。1987年に結成されたこの天才サックス吹き集団も結成20周年を経てさらにその「凄み」が増した感じ。シモクラのゴールデンウィーク企画ではほぼ「レギュラー」的な出演回数で、数々の印象的なシーンを演出してきました。そんな彼らは毎回さまざまな演出をみせてくれるのですが、果たして今回は…。まずはテーマともいえる《マイ・フェイヴァリット・シングス》(ロジャース)。有名曲を単に四重奏に編曲しなおしました…ということが一切ないのがトルヴェールのすごさ。一瞬たりとも聞き逃せない興奮の数十分が始まります…
そして、アンサンブルコンテストでもおなじみの《サクソフォン四重奏曲 第一楽章 第四楽章》(サンジュレー)と《グラーヴェとプレスト》(リヴィエ)。直球勝負ながら、いささかも力むことなく全員のタッチや音の強弱の波が揃う…特に、サックスが開発されたばかりの頃の作品だという(つまり、古いわけ)サンジュレーの素晴らしさにしびれました!
そして、ピアノストの小柳美奈子さんを交えて《ブエノスアイレスの春》(ピアソラ)を…ピアソラ独特のタンゴの激しさを表現するための手拍子(彦坂氏が担当)も効果的。この曲は《ブエノスアイレスの四季》という組曲になっているのですが、トルヴェールはあのヴィヴァルディの《四季》とあわせて、きわめてユニークな名盤「トルヴェールの四季」 で大きな話題を呼んだのです。きわめてダイナミックレンジの広い発想力と、それを現実化する演奏能力の高さ…それこそが彼らトルヴェールの魅力なのですね。
須川、田中、新井の各氏がそれぞれマイクを握り、楽曲の解説や、それぞれの思いのたけを披露。彦坂氏は…
ラストの《カルメンラプソディ》の前に登場。この名曲、というか、名アレンジ(長生淳氏の編曲)は、トルヴェール結成当初からのレパートリーだったのですが、自家薬籠中のものといっていいこの曲は、今では当初のテイストがあまりに変貌してしまったために(笑 もちろんいいほうに変貌したのです。あまりにメンバーの創意工夫が激しかった!)再録音までした、というからすごい。
とにかく、トルヴェールの演奏は「体感」すべきもののひとつ、だと思います。さまざまな「事件」がありましたが、今年も無事に開催された下倉楽器のゴールデンウィーク企画には、前述の通りいつも彼らの姿がありました。そしてこれからも、毎年5月の御茶ノ水をホットにもりあげてくれることでしょう。満場の大拍手をあびる彼らを眺めつつ、また来年もみんな元気にこのお茶ノ水で出会いたいものだ…と思わずにはいられないフィナーレでした。
演奏曲
●サンジュレー/サクソフォン四重奏曲第1番より第1楽章、第4楽章 ●リヴィエ/グラーヴェとブレスト
●ピアソラ/ブエノスアイレスの春 ●ビゼー(長生淳)/カルメン・ラプソディー他
Sop 須川展也
東京芸術大学卒業。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞。93年第4回出光音楽賞、94年度村松賞受賞。文化庁芸術作品賞を受賞したサクソフォン協奏曲集「サイバーバード」(EMl)、レコード芸術誌上で特選盤となった「Exhibition of Saxophone」、「ヴィルトゥオーゾ・コンチェルト」(avex)など、30枚近くのCDをリリース。年間100公演をこなすソリストであると共に、ヤマハ吹奏楽団常任指揮者を務める。2010年まで、東京佼成ウインドオーケストラ・コンサートマスターを22年余り務め、現在は協力アーティスト。11年春より東京藝術大学非常勤講師を務める。
Alt 彦坂眞一郎
東京芸術大学大学院修了。安宅賞受賞。CBSソニー「ザ・ニューアーティスト・オーディション’88」においてFM東京賞、クリスティン・リード賞受賞。マイスター・ミュージックよりソロ・アルバム「バラード"即興
への軌跡…!"」、「ダンス」、「エチュード」、「6つのカプリス〜2本のサクソフォンのための作品集〜」、ソロCD「明日の方へ」をリリース。現在、上野学園大学准教授、桐朋学園芸術短期大学講師の他、「裏サック
ス」、「火星接近」のメンバーとしても活動している。
Ten 新井靖志
コンセルヴァトワール尚美ディブロマ・コ「ス卒業。赤松賞受賞。第4回日本管打楽器コンクール・サクソフォン部門第2位入賞。2000年にはソロデビューCD「ファンタジア」(マイスターミュージック)をリリース。また、「6つのカプリス〜2本のサクソフォンのための作品集〜」(同)も人気を博している。最新CDはソロ・アルバム「夕べの歌」(フロレスタン)。
意欲的な内容で、サクソフォンの新境地を開拓、高い評価を得ている。
Bar 田中靖人
国立音楽大学卒業。矢田部賞受賞。第1回日本管打楽器コンクール・サクソフォン部門第2位、第4回同コンクール第1位受賞。「管楽器ソロ名曲集」(日本コロムビア)の他、「ラプソディ」、「サクソフォビア」(東芝EMl)、
「ガーシュインカクテル」(佼成出版)等のソロCDをリリースしている。現在、愛知県立芸術大学講師、昭和音楽大学及び同短期大学講師。東京佼成ウインドオーケストラコンサートマスター。
ピアノ 小柳美奈子
東京藝術大学卒業。従来の「伴奏」というイメージを変えてしまうとの定評を持つアンサンブルピアニスト。国内での活動はもとより、吉松隆「サイバーバード」の準ソリストとして、フィルハーモニア管弦楽団との共演、アメリカ、メキシコ、トルコなど海外での活躍も多い。ソロCDを2枚、また須川展也及びトルヴェール・クヮルテツトとのレコーディングは10数枚を超える。
そして一番最後に、お楽しみの「選定楽器お渡し会」
これは、この日出演することが決まったプレイヤーがあらかじめ選定しておいた楽器を、選定者との記念写真付でお渡しする下倉楽器独自のセレモニー。一見同じように見える管楽器ですが、実はすべて一本一本が手作り。よしあしではなく、どれも個性に溢れているのです。それをまた個性豊かなアーティストが心をこめて選定する…これはなによりも素敵なプレゼント。毎年、多くの笑顔がここから生まれます。
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